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ぞうブロ

好きなことまとめ、妄想

「アタック25」が憎い。地中海クルーズを目指し全てを失った男の告白。

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「アタック25」が憎い。

時間。仕事。お金。そして家族。

私からすべてを奪っていった、アタック25が…

 

 ある日。晩飯の準備をしながら、嫁さんが言った。

「あ、そうそう。あなたを『アタック25』に、エントリーしといたから」 

 

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アタック25|ABCとり放題

司会の谷原章介さん、テレビへの露出、そして何より地中海クルーズに、目がない嫁さん。

一方、毎週、「アタック25」を見ながら、一人ブツブツ突っ込んでいる私。

なぜ間違うの?と出演者に呆れ、たまに自分が正解するとドヤ顔を浮かべ、

「俺が出たら、余裕で地中海クルーズをゲットできるわ」と吹聴していた。

「この人なら私の夢を叶えてくれるかも…」

純粋なそう嫁が思うのも、無理はなかったのかもしれない。

 

私は勝手に応募されたことに驚きつつも、頼られ尊敬された気がして、嬉しかった。

しかしそれは、間違いだった。

彼女にとって、私は単なる「地中海クルーズ引換券」、

いや、それ以下だったのだから…。

 

嫁独断での「アタック25」へのエントリーには、もう一つ意味があった。

テレビの向こうで必死に戦う戦士たちに対し、テレビの前で寝転びながらの無責任な発言。

「なんで間違えるかね?」「こんなん楽勝やん」

それに嫁は辟易したのだろう。

 

やりもしないのに、安全地帯から人様を批判するなんてカッコ悪いよ。

あなたの嫌いな、某野党と同じじゃない。

そんなに言うなら、実際に戦って、結果を出してみてよ。

 

そんな無言の叱咤に思えた。

 

言うまでもなく、地中海クルーズへの道のりは、果てしなく遠い。

そもそも「アタック25」への番組出場が、途轍もなく大変だ。

  1. 予選会への参加(抽選)
  2. 予選会(アンケート⇒筆記試験⇒面接)
  3. 合格通知(1年間本選出場できる権利)
  4. 番組出場(合格者から4名選抜)

パネルクイズ アタック25|出場するには?|朝日放送テレビ

 

今の実力では、地中海クルーズはおろか、本戦出場すら叶わないだろう。

しかし、可能性が1%でもある限り、諦めるわけにはいかない。

というか、俺の頭脳をもってすれば、結局なんとかなってしまうだろう。

そんな根拠のない自信は、過去問をやってみて、木っ端微塵に打ち砕かれた。

 

アタック25過去問その1にようこそ。

現在、挑戦者数は101380人です。

なお制限時間は60秒で、正答率80%以上で合格です。

 

アタック25過去問その1-20問モード

 過去問サイトの存在だけでも怖気づいたが、全国にライバルが少なくとも10万人以上いる。

何気ない日常の隣に、とんでもない修羅の世界が、広がっていた。

結果。

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13/20。65%。偏差値55。不合格。

「がんばりはみとめるよ」

私の傲慢と無知をあざ笑うかのような、無機質で冷たいコメント。

  「このままでは、ダメだ…!」

 

その日から、私の生活は一変した。

寝ても覚めても、アタック25のことしか、考えられなくなった。

アタック25の悪魔じみた魅力に、憑りつかれてしまったのだ。

 

退路を断つため、会社は辞めた。

勉強に集中するため、妻子と別居し、紀伊山脈の山奥にこもった。

熊野古道で川の水をすすり、猪を狩り、たまに下山しては農作物を盗み食いする日々。

勉強だけではない。単なる泥棒でもない。

地上波で放送されるプレッシャー。パネル0枚の恐怖。谷原章介氏の煽り。無職に対する冷ややかな視線。

それら全てに耐えられる、強靭な精神を養うためだ。

そうして私は、来る日も来る日も、ひたすら過去問を解き続けた。

そんな生活も、もう5年になろうとしていた。

 

過酷な修行のおかげで、私は本戦出場を勝ち取った。 

決戦当日。東京のスタジオ。

全国から集められた、四天王。四魔貴族。黄金のカルテット。

私たちは「朱雀」「玄武」「白虎」「青龍」に分けられ、

己の意地とプライド、全人生、そしてたった一枚の「地中海クルーズ」の切符を賭けて、死闘を演じることになる。

「もし負けるようなことあれば、地下帝国行き、すなわち死だ」

私は胸に遺書をしたため、「青龍」の席についた。

 

「ヘリウム!」「正解!」

「X JAPAN!」「けっこう!」 

「ネイマール!」「その通り!」

 

死を覚悟した者ほど、強いものはいない。

私は破竹の快進撃を続け、驚愕のパーフェクト25枚抜きを達成。

ついに地中海クルーズへの挑戦権を獲得する。

 

そして…

「その人物の名は!?」

「吉田っ!SHOW!!WIN!!!」

「お見事!!地中海クルーズ獲得ぅ!!」

 

…やった…やったぞ…!!

私は歓喜の雄たけびを上げ、号泣し、その場に倒れこんだ。

谷原章介さんが駆け寄ってくてくれた。

「おめでとうございます、圧勝でしたね!」

「地中海クルーズは、どなたと行かれますか?」

 

「うっ…私を、ここまで導いてくれた…妻と…もう一度…新婚旅行を…えぐっ…」

「応援席には、奥さんがいらっしゃってます!」

谷原氏の声に、妻は笑顔で反応した。不自然なほど、美しい笑顔で。

そのときはまだ、その意味を知る由もなかった…

 

その数日後。私は地獄に叩き落された。

「ごめんなさい、地中海クルーズ、あなたとは行けないわ」

「なぜ!?俺は君の言う通り、結果で示したじゃないか!

5年以上待たせたのは謝る、それに新しい仕事も探すさ。髭も剃るし風呂にも入るから…!」

「私、いえ私達は、5年も待てなかったわ。私とこの子にとって、あなたのなけなしの退職金だけでは、どうしようもなかったの。

いっそのこと、山奥で遭難して死んでくれた方が良かった…!生命保険も入ったのに…!」

「それは…」

「それに今、私には、一緒に地中海クルーズに行く人ができたの」

「…!」

「ごめんなさい。でも、私だって寂しかったの。お金も必要だった。幼いこの子にも、父親が必要だったわ。それらを全て、あの人は与えてくれた」

「そんな…!」

「いまさら何よ!あなたは夢を追って、私たちを捨てたじゃない!私は地中海クルーズなんて、望んでなかった。ただあなたに、自信と誇りを取り戻してほしかっただけなの…」

「…」

「もう…終わりにしましょう…さあ、行きましょ、谷原さん

「…い、いつの間に?」

 

「zohbeyさん。あの日のあなたの戦いぶりは、実に素晴らしかった。

しかしあなたは一つ、忘れている。戦いのさなか、私は言いましたよね。

『大事な大事なアタックチャンス』だと。

確かにあのとき、あなたは『椎名林檎』と答えになり、5番に飛び込んだ。

3枚の緑が全て青に変わり、貴方の勝利は決定的となった。

でも、それが何だというんです?

あなたは人生で、何度アタックチャンスに出会いましたか?

そして何度、それを逃してきましたか?

今回だってそうだ。あなたはアタック25にかまけるあまり、

私に絶好のアタックチャンスを与えてしまっていたのですよ」

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パネルクイズ アタック25|朝日放送テレビ

こうして、私は妻子を失い、無一文になった。

嫁、いや元嫁さんは、谷原氏とクルーズで豪華な式を挙げたと聞いた。

私はというと、今は旅行者の格好をし、盗んだ自転車で全国を放浪するホームレスだ。

いつ訪れるか分からない、次のアタックチャンスを探し求めて。。。


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「…これでよし、と」

私はブログを書き上げ、ため息をついた。

予選会への参加を告げるハガキは、今日も来なかった。

 

アタック25で勝ち抜くのに最も大切なもの。

それは、情熱でも、知力でもなく、なのかもしれない。

(この記事には妄想が多分に含まれます。ご注意ください。谷原章介さんごめんなさい)

 

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