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ぞうブロ

旅行、音楽、スポーツから、転職、エンジニアの叫びまで。

結婚して1年経つけど、10年間一緒だった君を忘れられない。

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君と出会ったのは、そう、2006年の9月。

大学院を中退し、それまで縁もゆかりもなかった愛知で、沢山の不安と一抹の希望の中、僕が社会人生活を始めたときだった。

愛知は車社会。にもかかわらず、部署の同期で、唯一車を持ってなかった僕。

同期に「車なしリーダー」と揶揄されながら、出張のたびに便乗させてもらうのが悲しくなって、焦ってパートナーを探し始めた。

そんな中、ネットの出会い系サイトで、君を偶然見つけた。

黒く妖しい光を放つそのセクシーなスタイルに、僕は目が釘付けになり、一目惚れしたんだ。

 

君がいたのが、僕が青春を過ごした街・京都というのにも、不思議な運命を感じた。

君を手に入れるには、65万が必要だと君の親御さんに言われた。新入社員で、当時弁理士を志してスクール代を貯めつつ、連日連夜飲み歩いている僕には、大金だった。

それでも、なけなしの金をはたき、なんとかローンを組んで、君を京都から連れてくることができた。一宮市の「うま屋」で、激ウマチャーハンとネギ豚を食べながら、君との門出を祝ったんだよね。 

 

君はバツ1だった。もしかすると、バツ2だったかもしれない。

前のパートナーとは、何があったのか。君はついに語ることはなかった。僕も、気にはなったけど、知りたくはなかったし、聞かなかった。

でも、君と一緒にいられる喜びが、そんな邪念をかき消した。僕はうれしくて、君がきてくれてすぐ、目的もなく3日で800km一緒にドライブしたよね。

 

「もしこの子が話せたら、あなたのすべてが分かるのに・・・」

かつて君の助手席に乗ったある女性が、君のインパネの曲線ラインを優しく撫でながら、物憂げに呟いたことがあったね。

君に乗せた女なんて、数えきれないくらいいたから、誰が言ったかなんて、いちいち覚えていない。

「そんな悪いことしてないよ。俺がこの車に乗せるのは君だけさ」

そう作り笑いを浮かべる僕の顔が引きつっていたのを、君は覚えているかもしれないね。

 

本当は話せるんだろう?

だけど君は、空気を読んで、無言を貫いてくれていたんだと、今でも信じてるよ。

「あれ?アンタ、この前乗せた女と違うね」

そんなヤボなことを言う君じゃないから、僕は君を心から信頼していたんだ。

そして、僕の全てを知っているのは、他でもない、君だけだ。

「今度はどの女を乗せるんだい?」

君と二人きりで車中泊しているとき、夢の中で君がいたずらっぽくそうつぶやいた。そんな気がしたんだ。

 

うれしいとき。悲しいとき。

辛いとき。鼻の下が伸びているとき。

いつでも僕は、君と一緒だった。

 

君との思い出は、本当に、数えきれない。

日本中、あちこちを一緒に旅したよね。

中でも思い出深いのは、転職した有休消化中に行った、東北一人旅。もとい、二人旅だったかな。

震災復興支援と銘打ち、東北の美味しいものを食べ歩いたよね。仙台の牛タン、福島の喜多方ラーメン、岩手の前沢牛。富山の鱒寿司。最高だった。

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君も福島の高速のどこかのSAで、GSのお兄さんに「何も入ってないっすね↑」と言われて、みるとエンジン周りの水、オイルがすっからかんだった。

よくそんな体で愛知から600kmも走ってくれたよね。お詫びに、とび切り美味しい水とエンジンオイルをプレゼントして、君も機嫌を直してくれた。

 

津波の爪跡が残り、不気味なほどの静寂の中、重機の音しか聞こえなかった名取の閖上地区。

ゴーストタウンと化し、雨音と野良犬の鳴き声しか響かず、地割れが残る道。大量の黒い除染の袋と、白い防護服を着た人と、東京電力の人が一生懸命作業をしていた、福島・大熊町。

震災から二年経ってもまだこの状況なのか。僕は言葉が出なかった。その光景を、君と二人で目に焼き付けたんだ。

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トータルで2200km。君の食べたガソリンは140L。本当によく頑張ってくれた。

 

そして、九州一人旅も忘れられない。
おっと、これも二人旅だったよね。

大阪から尾道に寄り道して下関で一泊。本場のふぐ刺しとひれ酒は最高だった。唐戸市場も秋吉台も。そして何より、角島大橋の絶景

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一度でいいから、この美しい景色を、君と一緒に見たかったんだ。

夢の街、博多は中州で楽しみ、GWで緑がきれいな阿蘇のドライブウェイを疾走し、湯布院をかすめ、最後はフェリーで帰ってきたよね。

阿蘇のドライブウェイで君と過ごした時間は、何物にも代えがたいものだった。

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石川県の「なぎさドライブウェイ」を疾走したことも、いい思い出だよね。

僕はここで君の素晴らしさを世界に発信しようと、CM用に写真を撮りまくった。

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「上質な空間へ、ようこそ。ト〇タ チェイ象 誕生 ¥50,000」

でも、いくら積まれても、君を売る気などさらさらなかった。お金には代えられないものがある。それは僕の命とお金、そして君だ。

 

何も知らない人はきっと、こう言うだろう。

「飛行機や新幹線で行ったほうが、安いし、速い」と。

全く、何もわかっていないんだ。

いくら時間がかかろうが、高速代ガソリン代が爆発しようが、君といる時間が至福なんだ。長時間座ってると僕の腰も痛くなるし、睡魔も襲ってくるけど、それがまた君とのデートの醍醐味で、いいんだよね。

もう、これ以上、君との旅の想い出を語るのはやめよう。涙が止まらなくなる。。

 

出会ったときは48000kmだった君も、10年間で192000kmに。

お互い年を取ったもんだよね。

体のあちこちが痛んだり、なくなったりして、病院代も増えてきた。

「いつまでこんなボロ車に乗ってるんだ恥ずかしい!」と、親に罵られ、ボンネットを叩かれたりもした。

おっ、今日はお前のフェラーリで出張か!www」と、上司や先輩にあざ笑われもした。

君との爆走デートに嫉妬した覆面警察に尾行され、罰金を召し上げられた。

出張中の携帯電話や駐禁でも、彼らにはずいぶんとお金を納め、お世話になったもんだ。

時には高速の憎きカメラで君とのデートを隠し撮りされ、免許を半年間止められたりもした。

それはそれは、高い授業料だったよ。でも、お金よりも、君と一緒に過ごせない時間のほうがつらかった。

 

君は、僕の青春時代の全てだった。
いくつになっても、君を想う気持ちは、変わらない。

だけど、言うまでもないことだけど、出会いがあれば、必ず、別れがある。

幸せな時間は、永遠には続かないんだ。

 

君と別れてから、早一年。

今は、君の後釜として、奥さんのお父さんに無理やりもらったM菱製の某SUVにおとなしく乗っているよ。

車をあげる、と言われた時、僕はうれしいどころか、君との別れが辛すぎて、執拗にこっそり抵抗し続けた。

いらない、俺はこれからもずっと君に乗り続けると。

でも、時代の荒波と嫁のプレッシャーに負け、君を手放さざるを得なかったんだ。許してほしい。

いつか、余裕ができたら、大枚をはたいてでも、君を呼び戻したい。それまで、たとえ部品単位になっていてもいいから、元気で過ごしていてほしいんだ。

 

君は今頃、どこにいるのかな。東南アジアか、アフリカか、それとも中東か。

世界のどこかで、新しいパートナーと、楽しくやってることだろう。

もしかしたら、バラバラに分解されて、誰かの中で生きているのかもしれないね。


君と一緒に海外旅行に行けなかったのは心残りだけど、君ならどこにいっても、きっとうまくやっていけるよ。

ただ、寒いところは気を付けてね。君はFRだし、タイヤはつるつるだから。

昔、冬の岐阜・高山に君と突撃した時に、高速道路でスリップしまくって死にかけたことを、忘れないでいてほしいと願うばかりだよ。

 

時代の流れは、時に残酷だ。

僕も、否応なく、次のステージに進まなければならなかった。

でもこれは、悲しい別れなんかじゃない。

前向きな卒業だったんだ。

この心の痛みは悲しさじゃない。

成長するための脱皮には必ず伴う、健全で切ない疼きなんだ。

 

 

さようなら、いとしのチェイサー。いやチェイ象。

君が世界のどこにいようとも、僕は君を忘れないよ。

そして、10年間、本当にお疲れ様でした。

ありがとう・・・!

 

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 別れの朝。最後の雄姿。

 

※ちなみに、某SUVは、なかなか乗り心地がよく、チェイサーに比べて収納もバッチリなので、今ではすっかり気に入っています。

 

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