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ぞうブロ

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だまされ転職して早4年。会社にリクルーターを頼まれた私が就活生に伝えたいこと。

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社会人歴かれこれ10余年。うっかり騙されて転職して早4年。

会社にリクルーターなるものをしてほしいと頼まれた。

 騙された、とはなんとも人聞きが悪い。あまりにも被害者ヅラのしすぎだ。しかし、たしかに騙されたのだ。

前職では塗装やめっき等の技術開発をやっていた。要するに化学屋で、機械屋でもなかれば設計屋でもなかった。転職先の募集要項・面接ではふわっと製品開発をしてもらうと謳っていた。

人のよさそうな面接官(のちのボス)が言った。「あなたの経験は、うちにはピッタリです」「募集要項を拝見しましたが、御社(機械メーカー)にも化学屋的な仕事があるんですね!意外です」「そうですよ、うちはこれからそっちの分野にも力を入れていくんです」「私は化学屋としての製品開発の経験はありますが、機械の設計経験はありません。大丈夫ですか?」「大丈夫ですよ(ニコニコ)。まあそう焦らないで、一緒に頑張りましょう」

そうか。この会社は機械メーカーだけど、最近は化学もやってるのか。設計経験なくてもやっていけそうだなと、呑気に考えていた私がバカだった。希望の勤務地。少し上がる収入とネームバリュー。それらの重要なファクターも、私を盲目にさせるには十分だった。念の為、内定をもらってからも人事を通して本当に大丈夫か、まさか機械設計とかやらされやしないか、聞いてもらった。返ってきたのは「まあそう焦るな」の一言。一瞬胸騒ぎがした。それが最後の辞退のチャンスだとは知るよしもなかった。

出社初日。別のボスが言った。「で、君、前職では何の設計してきたの?うちは機械設計できないとダメだからね。じゃあ、即戦力として期待してるから頑張ってね」

えーーー?そんな馬鹿な。2日目には機械設計に関するテストを受けさせられる。化学畑出身の私には機械とか設計なんてさっぱり分からない。分かるわけがない。問題の意味さえ知らない分からない興味もない。0点を取るのびた君の気持ちが初めて分かった。私のキャリアもこれでおしまいか。ショックで飯が食えず一週間で3kg痩せたのはよかったが。

まさにキャリアなきキャリア採用だ。転職して一番つらいのは、待遇でも人間関係でもない。自分の武器や力を発揮できないことだ。勉強についていけずにグレて盗んだバイクで走り出すヤンキーの気持ちが、今ならわかる気がする。それでもやるしかない。バイクを盗むわけにはいかない。プライドも経験もくそもない。15の夜とか言ってられない30半ばの夜。泳げないのに濁流に放り込まれた子豚のように、生きるために必死でもがく日々が始まった。ちなみに私が面接のときに聞いた化学的な仕事をするのは、まったく別の部署だった。

数か月後、面接でお世話になったボスと飲む機会があった。酔っ払った彼は上機嫌で私に言った。「どや、ええ会社やろ?ガチ設計やったやろ?」こいつ、完璧に忘れてやがる。私は秘めたる殺意で言葉を発することができず、泣き顔で苦笑いを浮かべるのがやっとだった。

あれからかれこれ4年弱がたった。

 

 そんなある日。上司が「悪いけど、こういうの来てるから、お願いできるかな?」と声をすくめて言い、毛虫でも振り払うかのように私に紙を投げてよこしてきた。 

見ると、「リクルータ制度について云々」とある。

リクルーターといっても様々な形態があるが、私の担当は、就活中の意識の高い学生を自社に招き、そこで自社の製品を紹介することらしい。ついでに懇親会にも出ること。

私自身、転職して4年弱。新人ではないにせよ複雑怪奇な機械のお化けを意識の高い学生さんに満足いくよう説明できる自信がない。そして、私のような意識が低く、機械への理解も設計もスキルまだまだ未熟で、そのくせ楽することしか考えていないようなクソ社員が、意識が高く将来への希望で光り輝いている機械系の学生に対して、偉そうに話をできるわけがない。

何よりも、転職の経緯からして、この会社のために一肌脱ごうという気概は微塵もない。

丁重にお断りしよう、と顔を上げたが、既にそこには誰もいなかった。

さらに、このクソ忙しい中、人事は真っ白なパワーポイントを送り付けてきた。これを埋めて送り返せとのことらしい。

1ページ目。「自己紹介」。まあいい。2ページ目。「担当業務」。これもまあいい。

問題は最後のページの「仕事のやりがい」と「学生へのメッセージ」。

 

「仕事のやりがい」?そんなもの、あるわけがないではないか。日々いまだに必死なのだ。感じられるわけがない。鳥肌が立つような偽善に満ちたコメントを書く気力もない。ここは日本であり、北〇鮮ではない。言論の自由がある。しかし、会社というものは治外法権。なんでもありなのだ。涙をこらえて笑顔で嘘を言わなければ、VXで消されるだけなのだ。

「大きな(できない質・量の)仕事を、大きな裁量で(責任だけ押し付けられ)、任せてもらえます」「(上司が)納得するまで、思い切り(深夜も休日も)仕事ができます」「自分の設計が、直接困っているユーザーの助けになることです(自分のことは助けてくれないけど)」云々。気の利いたコメントを考えているが、今も浮かばない。無難なコメントをかき集めようかと思っている。

 

「学生へのメッセージ」?「こんなところで何をしているんだ君たちは?就職なんて縁。なるようになるし、なるようにしかならない。そんなことをする暇があったら、今できることを、思い切りやっておきなさい。何も死に急ぐ必要はない。というかそんなキラキラした赤ちゃんのような目で私を見るんじゃない。。。」

そう言いたい気持ちを抑えて、かつてボスが私に言った言葉を、彼らにも飛びきりの笑顔で送ってやろうと思う。「まあそう焦るな」と。

 

もう一つ。「目の笑っていない人がニコニコしてる時、その人が嘘をついている可能性は約98%だ。騙されないように気を付けなさい」と。就活生諸君。大人は君たちが考えているよりも遥かに真っ黒だ。さあ、夢に向かって一緒に働こう!!

 

 

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