ページ コンテンツ

ぞうブロ

好きなことまとめ、妄想

交通事故を起こした同僚の退職に寄せて。レッドゾーンは常に隣にある。

スポンサードリンク

先日、私の会社の元同僚が、退職した。

原因は、交通事故だった。パワハラでメンタルを破壊された彼は、長期休業に追い込まれた。なんとか復職したが、車で人身事故を起こし、あろうことかひき逃げをしてしまった。被害者は一命をとりとめたものの、骨折の重傷。謹慎ののち、諭旨退職になったようだ。

 

そんな彼が、最後の挨拶ということで、私を含む一部の関係者と束の間の再会を果たした。

久しぶりに会う彼は、普通だった。でも顔色は青白く、挨拶をする口元は震えていた。2,3の言葉が交わされた後、ごく一部の親しい人を除き、その場は解散した。

 

転職して間もない頃、彼とは2年ほど、近い職場で仕事をした。彼は年下だった。共通の職場には、パワハラの権化のような人間が、うじゃうじゃいた。今思い返しても、ひどい環境だった。そんな中、彼はまだよくわからない私に対し、とても優しく接してくれ、丁寧に教えてくれた。彼の仕事ぶりは、優秀な方だったと思う。転職してきた人間に優しく接してくれる人の方が少なかった中、ありがたいことだった。

 

しかし、彼の直属の上司が、凶悪なパワハラ野郎だった。私は直属ではなかったが、だいぶそいつにやられた。何度も殺される夢を見るほどだった。彼もまたそうだった。連日の理不尽な罵倒。そしてついに、彼の心は壊れてしまった。会社に来なくなったのだ。

 

それから半年。彼は復職した。パワハラ主犯のあいつは、別部署に左遷された。その後数年で、冒頭の事件は起きた。長期休業から復活し、結婚して子供が産まれ、さあこれから、そんな矢先の出来事だった。

 

f:id:elep-peace:20180317110837p:plain

交通事故のイラスト「飛び出し」 | かわいいフリー素材集 いらすとや

ひき逃げ事件はもちろん悪質だ。どんな事情があれ、社会的に絶対に許されないことだ。被害者が一命をとりとめ、後遺症もなかったらしいのが、不幸中の幸いだった。

 

しかし、私はどこか、やりきれない気持ちだった。なぜよりによって彼が、こんなことに。パワハラ主犯の元上司が左遷先で出世しているらしいことも、やるせなさに拍車をかけた。会社では仕事が出来さえすれば良い。潰す方ではなく、潰される方が悪い。そんなメッセージかと、訝ってしまうくらいだった。

 

私は最後、彼に短く挨拶した。その後、LINEでメッセージを送った。昔助けてもらった感謝は忘れない。過去は消せないし、これから厳しい道だけど、未来をどう生きるかで過去の意味は変わる。だから自分と家族を大切にして頑張ってください。そんな内容だった。既読がついたが、返信はなかった。余計なお世話だったのかもしれない。でも、それで十分だったし、どうしても感謝の気持ちは伝えたかった。

 

私自身、車を運転していて、ヒヤッとしたことがある。以前、出勤時で急いでいたとき。交差点でランドセルを背負った子供が飛び出してきて、危うく事故になりかけたことがある。今思い出しても、心臓がバクバクする。

 

あのとき私は、間違いなく彼と同じ、現実と恐ろしい世界とのボーダーラインにいた。私はたまたま難を逃れ、彼はたまたまレッドゾーンに入ってしまい、そして逃げることで、さらに深みへと落ちてしまった。

 

日常を薄皮一枚隔てたすぐ隣には、危険やレッドゾーンが潜んでいる。いつ誰がそっちに転んでしまっても、何ら不思議ではない。そんな恐ろしい現実を、私は嫌になるほど痛感させられた。

当たり前のことだけど、車などを運転するときは、本当に気を付けよう。

そして、彼と彼のご家族の今後が、どうか少しでも平穏なものでありますように。

 

スポンサードリンク