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ぞうブロ

サラリーマンエンジニア象の、本格エッセイという名の妄想寝言ブログ。

エンジニアのバレンタインは、壊れた上司と人間耐久試験マンに囲まれ、サボり爺さんの尻拭い。

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今日は花金。しかもバレンタイン。

幸せそうなカップル。眩しすぎるリア充。チョコを貰えず咽び泣く中学生。悲喜こもごものドラマが全国で展開される日。家では家族が待っている、さあ俺も今日は早めに上がろうか。

 

そう思い始めた定時後、上司がこれ見よがしに呟き始めた。

「あれ?こんなんあったっけ?爺さんに言ったと思ったけど…」

 

 

当然ながら、サボりジジイはもういない。ていうか今日昼から見ていない。きっといつものように、所内を散歩し、サボり仲間と茶でもシバいてるんだろう。こっちがシバいてやりたいわ。普段は大体、席で寝ている爺さん。起きてるときは、CADで新居の間取り図を書いている。最近ネットサーフィンに移行したのを見ると、どうやら完成したのかな。おめでとう。

いつもニコニコで、仕事をしないことに定評のある爺さん。彼とコンビを組まされている私に、白羽の矢が立つのは、もはや必然だった。

 

爺さんが普段、これだけ無双していても、「あの人は3Dが使えないからね…」の一言で、上司は片づけてしまう。3Dができても、あるいは4Dでも5Gでも、爺さんはサボるに違いないさ。そして決まって、上司は私にこう言うのだ。

「だから君が、うまく仕事を振ってやらないとダメだよ。」

それは、お前の、仕事だろう!事務所の中心で絶叫したい。でも、満面の作り笑いを浮かべる上司を見てると、そんなツッコミをする気にもならない。

 

「ぞう君、突発案件だ。これ月曜朝一報告やわ。申し訳ないけどお願いできるかな。」

アイアイサー!40間近で簡単に転職もできない上、住宅ローンで自縄自縛のサラリーマン。もちろん笑顔で引き受けざるを得ない。だって私社畜ですから。

 

それを聞いていた隣席のワイルドイケメンが、満面の笑みで言ってきた。

「大丈夫、あと50数時間もあるじゃないですか!土日も一緒に頑張りましょう!」

 

「特命係長」の只野仁にそっくりの彼は、まさに鉄人。残業休出なんのその、仕事終わりにフットサルの試合を10試合こなし、肉離れになりながらもフルマラソンをサブ4で完走してしまう。控えめに言ってもキ〇ガイ、心身ともにタフネスの化け物。

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特命係長 只野仁|テレビ朝日

そんな彼は、いつしか人間耐久試験マンと呼ばれるようになった。通常2000回もてば合格で試験終了だとすれば、彼は当に10万回を超えてるのに壊れない。彼が壊れる前に、設備が壊れてしまう。ちなみに私は37回がベスト。何の回数かは知らんけど。

 

ああ、せっかくの花金バレンタインも、壊れた上司、人間耐久試験マンに囲まれて、サボりジジイの尻拭いをさせられるのか。

 

いつからだろう、バレンタインがこんな日になってしまったのは。機械設計の男くさい職場には、チョコを配ってくれる優しい女性社員なんていない。私は図面を眺めながら、考えを巡らせ始めた。

 

バレンタイン。それは一年の中で、リア充が最も輝き、非リア陰キャが最も涙をこぼす日。リア充の分類は、時代により多少変化するが、おおよそこうだ。

 

  • 小学生では、足の速い子、面白い子、イケメン。
  • 中学生では、サッカー部、ヤンキー、イケメン。
  • 高校生では、野球部、大学生、イケメン。
  • 大学生では、車持ちの社会人、スタバにいる意識高い系、それにイケメン。
  • 社会人では、医者と弁護士、電通に三井物産、それにイケメン。

 

どのカテゴリーにも属さなかった私にとって、バレンタインはまさに苦い思い出。

好きだった女の子が、放課後にイケメン野郎を廊下に呼び出し、本命チョコを渡しているのを目撃してしまった、中学2年生のトラウマ。ほどなく両想いになっていた彼らを、柔道部のイケてない私は、涙を拭いて見守るしかなかった。

イケメン様お願いです。ひとかけらでもいい、食べ残しでもいい。そのチョコをください。その言葉を必死でこらえた。

 

年齢を重ね、それなりにチョコをもらう機会もあったけど、この時代に貰えるチョコには敵わない。どんなに高いゴディバのチョコレートも、当時の手作りチョコには敵わない。

それに、大人になってからのバレンタインは、むしろカツアゲの様相を呈してきた。「お返しは3倍返しから承ります」。愛とは。その言葉に怯え、ただただホワイトデーが恐ろしくなる日々。

ああ、たとえそうだとしても、もうすぐ40歳になるけど、チョコがほしい。気持ちのこもった本命のそれが、なるべくたくさん…

 

「どうも皆様!ごきげんよう、ゾウベイです。昨日はバレンタインでしたね。例年通り、沢山のチョコをありがとう。日本全国、いや全世界から届いたチョコは、今年は何と4トントラック3台分!いつもありがとう、心から感謝してるよ。

だけどリスナーのみんなに一つお願い。会社や実家に突撃するのは控えてね。みんな、ビックリしちゃうからさ。ほら、男だって嫉妬しちゃう生き物だからね。

頂いたファンレターは、全部読んでるよ。1万通以上あるから、遅くなっちゃうかもしれないけど、返事は必ず返すよ。全国、いや全世界のぞうべいフリークの皆様に、ありったけの愛を込めて by zohbey それでは次の曲行ってみよう、AKB48で、『恋するフォーチュンクッキー』です、どうぞ」

 

翌日、オフィスで図面に突っ伏して冷たくなっている男が発見された。口元にはチョコレート。図面には涙の跡がにじんでいたが、実に安らかな表情だったという。

第一発見者のサボり爺さんが、カメラに応える。

「働き方改革だと政府は言いますが、現実はまだまだ厳しいものがあります。額に汗して働く人たちを、このような形で使い捨てしてしまう恐ろしい国ニッポン。桜、モリカケ、アベ政治を許さない…」

 

取り乱しました。ちなみに仕事は上司と人間耐久試験マンが手伝ってくれ、無事片付きました。これぞ働き方改革です。

 

ようやく家に帰ると、嫁さんがチョコレートを買ってくれてました。「この忙しいのに、わざわざコンビニで買ってきたんだからね」勿体ないお言葉、ありがとうございます。頼んでないけどね。こんなバレンタインも悪くない。でも昔ように、「お返しは3倍返しから」などと宣うのは、勘弁してくださいね。

 

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