ページ コンテンツ

ぞうブロ~ぞうべいのたわごと

迷いながらも前に進む、不惑のサラリーマンのブログ

上り坂チャリ頂上決戦記〜10代電気自転車vs40代ママチャリ

スポンサードリンク

私の家から最寄駅までは約2キロ。通勤時はママチャリ。その間にある、全長500mほどの激しめの坂。朝の通勤時は地獄の上り坂と化し、朝に弱い40男の心臓を容赦なく破裂させてくる。

 

ママチャリでこの坂はエグいぞ。ああ、電気自転車が欲しい。当初は絶望しかなかったが、慣れというのは恐ろしいもので、今ではなんとか、最後まで登り切れるようになった。

 

しかし最近、心を乱す強敵が現れた。近所の中学生か高校生。眼鏡をかけ、身体も細く、運動系には見えないが、彼が乗るのは、最新式の電気自転車。

いつも、上り坂の少し前から、私と同じ道に合流してくる彼。私がヒーコラ登ってる中、涼しい顔で抜き去っていく。ちくしょう、なんで若者が電気自転車乗ってるんだよ。立場が逆じゃないのか。しかし甘ったれるなよ小童が!中年男の意地と誇りを見せてやるぜ!

 

彼はきっと、何も気にしてないだろう。おっさんの一方的な僻みにすぎない。それでも私は必死で錆びついたママチャリを漕ぎ、電気自転車の彼を抜き返す。マスクの中はツバだらけ。でも心地よい。今日も勝ったぞ。やってやったぜ。そう一人悦にいる。

勿論、抜けない日もある。そんなときでも落ち込まない。仕方ない、負けを受け入れ、退くも勇気。この切り替えこそ大人の武器よ。でも明日は負けないぞ。そんな毎日。

f:id:elep-peace:20201209190754j:image

https://www.chariloto.com/perfectanavi/cycling/32633/

(画像は脳内イメージです)

 

しかし今朝、彼に変化があった。合流時、明らかに私を見ている。意識している。気配を悟られまいと息を潜めているが、心の内の殺気までは隠せてないな少年よ。やる気だな。私は内心嬉しくなった。

 

お互い意識をしてないふりをし、いよいよ上り坂の手前までやってきた。上り坂のスタート地点には信号がある。奇しくも赤信号。私と彼は、スタートラインに立った。二人とも無言で精神統一。静寂が周りを支配する。

 

そしてついに青信号。決戦の火蓋は切られた。電気自転車の彼は、いつも通りの出だし。一方の私はロケットスタート。変速はMAXの6段。行けるところまで全力。先行逃げ切り作戦。しかしラストスパートの余力も残しておかないといけない。

普通に戦えば勝てない相手。文明の利器を操るピチピチ10代男に、錆びたママチャリを操るダルダル40男が勝つ。それには、緻密な戦略と気持ちで上回るしかないのだ。

 

坂の中盤。私はリードを保っていた。差はおそらく10m。作戦通りだ。しかし体力が思った以上に残っていない。ちくしょうこれがトシか。一方で、決してバテることなく、均一な速度で淡々と追い上げてくる彼。

やばい。しかし、ここからは気持ちの勝負だ。私のプライドに誓って、死んでも変速段は減らせない。

私は必死で漕いだ。全身全霊漕いだ。あと200m、あと150m。マスクが苦しい。マスクをずらした口からは、思わず声がもれる。うぉぉっ!おらぁっ!うぉぉっ!

 

しかし残り50mを切ったあたり。ついに彼が私に並んだ。そして汗とヨダレまみれの私を、涼しい顔で一瞥した。一瞬、目が合った。彼はうっすら、微笑んでいた。勝利を確信していた。同時に、私に対する哀れみすら滲ませた。ように感じた。

 

数分にも感じられた一瞬の見つめ合いが終わり、彼は涼しい顔で、私を抜き去って行った。くそぉぉっ!!私は思わず小声で叫んだ。ラストスパートの余力は、もはや残っていなかった。私の断末魔は、彼に聞こえただろうか。彼は颯爽と去っていった。汗か涙か、それとも涎か。私の顔はさらにぐちゃぐちゃになった。

 

こうして、初の地獄の上り坂チャリ頂上決戦は、あえなく私の敗北で終わった。悔しい。しかし、敗北からは学ぶことが沢山あるのだ。それに、どこか清々しい。

 

新たなチャレンジの幕開けだ。電気自転車なんて100年早いぜ。まだまだ若いもんには負けられん。心身を鍛錬して、出直しだ。こんな俺にも、まだそんな闘争心が残っていた。そう気づかせてもらえた。

ありがとう、見知らぬ青年。次こそは負けないぞ。不審者だと通報しないでね。電気自転車欲しい。