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ぞうブロ

好きなことを好きなときに書いています。文章長め、更新遅め、内容阿呆め。

近鉄特急で、女子アナの卵のリクルートスーツ姿のJDと、本来出会わないのに出会ってしまった話。

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センター試験2日目の朝。

束の間の独身生活最後の夜、カプセルホテルで隣人のイビキと咳がうるさ過ぎて眠れなかった、爽やかな朝。

私は魔都・難波を出発し、近鉄アーバンライナーで桑名に向かった。
一週間帰省していた嫁さんと息子を、迎えに行くためだ。
そんな朝に、あんな試練が待っていようとは。
 
 
アーバンライナーの二人掛け指定席でウトウトしていると、隣の席に、リクルートスーツ姿の女性が座ってきた。
チラ見した限り、おそらく面接に向かうJDだろう。しかもかなり可愛いっぽい。さらにいい匂いまでする。
 
 
三度の飯よりリクルートスーツ姿のJDが好きな私は、一瞬で眠気が吹き飛んだ。
思わず左腕のウェアラブル端末を確認した。
脈拍が20上がり、100になっていた。


JDはおもむろにノートを取り出した。見ちゃダメだ見てはいけない。

でも誘惑に勝てず、薄目でそっと見た。瞬間、目に飛び込んできた。

そこには面接で話すであろう、志望動機や、ポジティブな言葉たち。

そして履歴書の下書きまでもが、びっしりと書かれていた。

それにより、紛れもなくJDであることが確認できた。

脈拍がさらに20上がり、120になった。気のせいか息が苦しくなった。

 

 

薄目ついでに見ていると、どうやら、今日は東海地方の某マスコミの面接のようだ。

アナウンス学校での体験談、そこで得られたことが、ノートに書かれている。
ということは、まさか女子アナの卵なのか!?
どおりで可愛いわけだ。私は驚愕した。
脈拍は140に上がった。心なしか動悸が激しくなった。
 
 
JDはそのノートに一心不乱に何か文字を書いていたが、ふとペンが止まった。
得意技と化した薄目観察によると、どうやら、面接でアピールするためのキーワード、殺し文句が浮かばず、悩んでいるようだ。
 
頑張ってるのはセンター試験受験生だけじゃないんだな。
そしてその悩み悶える姿もまた、色っぽかった。
脈拍は160になっていた。ハアハアという呼吸音が思わず漏れ出していた。
 
 
私が面接官なら即採用だよ。可愛いし、リクルートスーツだし。いい匂いだし。
今のご時世そんなことを言うと、社会的に抹殺される。
いや、たとえ口に出さなくとも、薄目でハアハア呼吸を乱しながらJDをチラ見し続ける中年男性だ。
既に何らかの法律や条例に抵触している可能性が極めて高い。
 
だけどせめて何か一言、言えればなあ。
諦めきれない私は妙案を思いついた。
そうだ、私は途中、津で乗り換える。その降り際に一言「頑張って下さいね」と笑顔でスマートに声をかけよう。
脈拍は180を突破した。全身から脂汗が噴き出してきた。
 
 
すると突然、「乗車券を拝見いたしまーす」と、車掌が回ってきた。
車掌は私の切符と顔をじっと見た。
やばい。JDを狙ってたのがバレたか。
一人薄目でニヤニヤしてたから、他の客に通報されたのか。
脈拍はついに200を突破した。全身の痙攣が止まらなくなった。
 
 
彼は笑顔で私に告げた。
すみません、席が違いますよ。6号車の4Dは、次の津から桑名の席です。この電車は6号車の12Aです」
 
どうやら私は、本来はあのJDの席に、勝手に座ってたってことらしい。
「あっ、す、すいません!」
私は恥ずかしさでそそくさと席を移動した。
脈拍はなんと250を突破。私は白目をむき半狂乱で髪を振り乱していた。
 
 
そういえば最初、JDはしばらく自分の切符を見てた気がする。
だけど私に何も言わず、黙って私の隣に座ってくれた。
面接直前で大変な時、ピリピリしててもおかしくない。なのに、なんていい子なんだろう。
ていうか言えなかったのかな。ああ馬鹿なおっさんが間違って座ってる…こんな日にツイてないわ私…と、諦めの境地だったのかもしれない。
 
 
去り際、私はJDに声をかけた。
「どうもすみませんでした」
JDは複雑な苦笑いを浮かべ、「いいですよ」と言ってくれた。
脈拍は驚異の300超え。ついに全身の血管が破裂し、私は血を噴き出し始めた。
 
 
数十分後。津で降りるとき、初めてJDの顔が見えた。
彼女は、元乃木坂46の生駒里奈さんにそっくりだった。
下手すれば本人かと思うくらい似ていた。

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フェンリル卿 on Twitter: "■はるやま 「スラっとスラテクノスーツ」 乃木坂46新CM発表会

目が合ったので、再度すみませんでしたと言うと、彼女はメイクを止め、笑顔で会釈してくれた。
脈拍は驚愕の500over。心臓と理性が爆発し、その場で死亡が確認された。
 
 
電車を降り、名古屋に走り出したアーバンライナーに向かって、私は呟いた。
「頑張って」と。
あのとき、言えなかった言葉。
お巡りさんこの人です。
 
 
リクルートスーツ姿の可愛くていい匂いのする生駒里奈似でマスコミ志望のJDさん。
本当に申し訳ございませんでした。
ただでさえ面接当日で緊張している中、自分の席に薄汚いおっさんが座ってたのに、表情一つ変えず、優しい苦笑い…笑顔までくれて。
外見も内面も美しい貴方なら、きっと第一志望に合格できるに違いありません。
悪い事の後には、必ずいい事が訪れるからです。
 
 
改めて、心の中で叫びます。
頑張れJD、超頑張れ!
将来、人気女子アナになった彼女が、いつかテレビで、面接当日に気持ち悪い親父に座席を占拠されたエピソードを話してくれたら、これに勝る喜びはありません。
特急列車の指定席は間違えないように気を付けましょう。

 

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